わたしの相続では、パートナー(配偶者)にすべての財産を相続させたいですが
注意して遺言書を作成しないといざ相続の時にトラブルになる可能性があります。
配偶者以外に相続人がいない場合には、すべての財産は配偶者に相続となります。しかし、配偶者にすべての財産を相続することは遺言書をもっても遺留分を侵害してはできないことになります。
たとえば、子どもには相続させたくないと思って遺言書を作成しても子どもたちには法定相続分の1/2の遺留分※があります。あなたに子どもや孫といった直系卑属がいない場合には直系尊属※であるあなたの父母や祖父母に1/3の遺留分があります。
また、あなたに直系卑属※で父母や祖父母がいない場合にはあなたの兄弟姉妹やその代襲相続人である甥や姪には遺留分はありませんので、生前に遺言書を作成しておくことが有効な対策になります。
もし、この遺留分を侵害した遺言書の場合には、他の相続人から遺留分減殺請求※をされますのであなたの意思は実現できない可能性があります。同じく遺贈や生前贈与にも遺留分がありますので注意が必要です。
<用語解説>
※13遺留分・・・・遺留分とは、民法で定められた兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産のある一定の割合のことです。遺留分は相続順位※によって一定の割合があります。相続人の遺留分は遺産の1/2ですが、直系尊属のみが相続人の場合は1/3になります。
※14遺留分減殺請求・・・・遺言書で法定相続人である配偶者や子どもが遺留分に満たない相続額しか受け取れなかった場合にその不足した遺留分を請求することです。法定相続人には、それぞれ法定相続分の2分の1の遺留分があります。遺留分減殺請求は、相続の開始を知った時から1年以内に行わなければなりません。遺留分減殺請求は家庭裁判所に申し立てる必要はありませんが意思表示をすることが必要です。なお、被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
※15直系卑属・・・・自分より前の世代に属する父母、祖父母などを尊属といい、自分より後の世代に属する子、孫などを卑属といいます。また、直系とは親族のうち祖父母、父母、子、孫などのように祖先から子孫へと続く親系をいいます。
※16直系尊属・・・・自分より前の世代に属する父母、祖父母などを尊属といい、自分より後の世代に属する子、孫などを卑属といいます。また、直系とは親族のうち祖父母、父母、子、孫などのように祖先から子孫へと続く親系をいいます。